第1回 富安 陽子さん

キツネのまいもん屋

富安陽子・作 篠崎三朗・絵
新日本出版社 ¥1200

富山生まれの母から“まいもん屋”という言葉を聞いたのは、もうずいぶん昔のことです。この物語自体、わたしが20代に書いた古い作品なのですが、何故か今頃、ひょっこり単行本化の話しが舞い込み、すてきな挿絵をたっぷりプラスした新しい本ができあがりました。“まいもん屋”とは、つまり、オマケ付きやアタリ付きのお菓子を並べた駄菓子屋のこと。主人公のひさしは、その店で、なんと、お月さまを当ててしまいます。

ぼっこ

富安陽子・作 瓜南直子・絵 
偕成社 ¥1200

これは関西版座敷童の物語で、大阪弁をしゃべるザシキボッコが出てきます。私は、幼少の頃に東京から大阪へ引っ越してきました。その後も2回小学校を転校し、その度に新しい友だちや、新しい環境になじむまでの一種はりつめた、心のせめぎ合いのようなものを体験しました。それは決して、辛いとか、苦しいという種類の思い出ではなく、不思議な緊張感に満ちた異界との出逢いではなかったかと思います。冬の感想画コンクールの課題図書になったこの作品に、子どもたちがどんな思いを重ね、どんな絵を寄せてくれるのか、今から楽しみにしています。

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